一切経 ・ 大蔵経

いっさいきょう  だいぞうきょう
 TOP > やさしい仏教入門 > 一切経

お経は読むもの”と思われがちですが、声を出して読まないお経、つまり読書用のお経もたくさんあります。
お経を一同に集めたものを一切経とか大蔵経といいます。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 
慓はフォントにないので代用です。本来は偏が巾です。

 

 

 

 

 

 

一切経とか大蔵経と呼ばれるものは、発行された時期と国により収録内容が異なります。当初ものは掲載するお経の基準が厳格に決められていましたが、後世になると後の研究者の論文も数多く収録されるようになります。

日本の場合、最新版は大正新脩大蔵経たいしょうしんしゅうだいぞうきょうです。お経を歴史的な順序を追って分類し、2,920タイトル収められています。以下は大正新脩大蔵経を基にした話です。

 まず、お経と聞いて思い浮かべるのは般若心経でしょう。

大蔵経には般若部という区分があります。代表的な般若心経だけで約30、関連したものも含めると約40、般若の名を含むものとなると約90タイトルあります。

この中で一番古いのは、道行般若経どうぎょうはんにゃきょうです。支婁迦讖しるかせんという人が西暦179年に翻訳しました。

おなじみの般若心経が作られたのは西暦500年代。訳した人は西遊記の玄奘三蔵法師げんじょうさんぞうほうしです。

 お経の基本はお釈迦様が話されたことの記録です。

したがってタイトルの始めに”仏説”と付くものが多く、677あります。

この中で一番短いタイトルは4文字で3タイトルあります。そのひとつに、仏説数経ぶっせつすうきょうがあります。数学者の問いに対し、仏教の教えにも数学同様、順序、次第があると説いた話です。

逆に長いほうの一番は、仏説一切諸如来心光明加持普賢菩薩延命金剛最勝陀羅尼経ぶっせついっさいしょにょらいしんこうみょうかじふげんぼさつえんめいこんごうさいみょうだらにきょうです。このお経を49回、陀羅尼を10万回読めば長寿が得られる、とガンジス川の岸辺で説いた話です。

 すべてのお経の中で一番長いタイトルは・・・・・

攝無礙大悲心大陀羅尼経計一法中出無量義南方満願補陀洛海会五部諸尊等弘誓力方位及威儀形色執持三摩耶幟曼陀羅儀軌しょうむげだいひしんだらにきょうけいいっぽうちゅうしゅつむりょうぎなんぽうまんがんふだらくかいえごぶしょそんとうぐぜいりきほういおよびいぎぎょうしきしゅうじさんまやひょうしきまんだらぎき
なんと55文字です。略して補陀洛海會諸尊住略出威儀形色儀軌、補陀洛海會軌、攝無礙経などと呼ばれています。

この長いタイトルのお経は密教部のお経です。の解説と、息災・増益・降伏・敬愛・鈎召の五種類の祈願方法について説かれています。訳した人は不空 ふくう といいます。

 四大翻訳家

不空は数多くのお経を翻訳していて165タイトルあります。翻訳数が100を超える人は、この不空と施護 せごだけです。施護は102タイトルです。
大蔵経に出てくる執筆者は約690名います。このうち64%の人が1タイトルで、10タイトル以上を手がけた人は7%です。

不空、鳩摩羅什くまらじゅう、玄奘、眞諦しんだいこの四人を四大翻訳家といいます。

それぞれ手がけた数は・・・・・
不空

165タイトル

1番目

鳩摩羅什

44タイトル

8番目

玄奘

37タイトル

10番目

眞諦

19タイトル

20番目

ただし本文の長さはお経によって相当の開きがありますので、タイトル数とこなした仕事量は一致しません。また翻訳は質の問題もあります。四大翻訳家は質、量ともに偉大な功績を残した人たちです。

 執筆者に珍名さんもいます。

般若、不可思議、という人がいます。どちらの人も生没年は不詳です。般若は般若心経をはじめとして8タイトル。不可思議は、大毘盧遮那経供養次第法疏だいびるしゃなきょうくようしだいほうしょ1タイトルを著しています。大毘盧遮那経・・・の内容は善無畏ぜんむいという人の大日経第7巻の講演記録です。

円珍=天台密教を完成させた人。空海の甥。天台宗寺門派の宗祖

わが国の人たちばどうでしょう。各宗祖を調べると次のようになります。

  聖徳太子・・・・・・・・・  3 タイトル
  空海 (真言宗)・・・・・ 26
タイトル
  最澄 (天台宗)・・・・・ 12
タイトル
  円珍 (天台宗)・・・・・ 11
タイトル
  日蓮 (日蓮宗)・・・・・ 11
タイトル
  法然 (浄土宗)・・・・・  3
タイトル
  親鸞 (浄土真宗)・・・ 13
タイトル
  道元 (曹洞宗)・・・・・  5
タイトル

 (C) Copyright 2003 Tobifudoson Shoboin.All Rights Reserved.

TOP > やさしい仏教入門 > 一切経