兜 率 天

とそつてん
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兜率天とそつてんは、数ある天界のひとつの名前です。
兜率天は、一人の神様の名前ではありません。

 浄土のような世界

兜率天とそつてんは、数ある天界のひとつで、欲界の第四番目の世界です。天界の全体像はこちらをご覧ください。

兜率はサンスクリット語ツシタの音写で、都率・兜術・兜率陀・覩史多などとも書きます。

兜率天は、五感のすべてを満足させてくれるようなものが揃っている、という意味で知足・喜足・妙足などと訳されます。

兜率天はある意味、人間にとって理想的な世界ともいえます。でも浄土ではありません。

 お釈迦様もいた世界

兜率天は、地上より32万由旬ゆじゅん上で、広さは約8万由旬平方といわれています。

内院と外院の二つに分かれ、内院は将来必ず仏様になることが約束されている菩薩が住む世界です。お釈迦様も地上に生まれる前は、ここに住んでいました。現在は弥勒菩薩が住んでいることで有名です。

外院には天人と呼ばれる人達が住んでいます。兜率天は人間世界よりは善い所ですが、いずれ天人の五衰と呼ばれる五つの衰えが現れ、寿命が尽きます。

 兜率天へ行こう

天界の一日は、人間界の400年に相当するといわれています。天界での平均寿命は4000年ですので、400*365*4000=5億8400万年が天人の平均的寿命となります。

弥勒菩薩の登場は、お釈迦様の滅後56億7000万年後とされています。長くて待てない、との思いから弥勒菩薩がいる兜率天に死後生れ変わりたい、と望む上生信仰じょうしょうしんこうが生まれます。

輪廻転生を繰り返して成仏を待つより、兜率天へ往生し弥勒菩薩から直接教えを聞く方が早道である、との考え方から兜率天往生の信仰がさかんとなります。

 浄土ではないのですが・・・

兜率天は弥勒菩薩の浄土として描かれることもありますが、天界は輪廻する世界のひとつですから、阿弥陀様の極楽浄土とは本質的に異なります。

浄土は、そこで成仏することができる究極の世界で、寿命は永遠です。兜率天は成仏できる世界ではなく、寿命に限りがあります。

浄土は往生するとき、阿弥陀様をはじめとして、たくさんの菩薩が迎えに来てくれますが、兜率天では誰も迎えに来てくれません。

兜率天は欲界ですので、欲望を満たすものが、いろいろとあります。浄土は、みな仏様となるので、人間の欲望を満たすようなものは必要ないはずなのですが・・・阿弥陀経には人間が魅力を持つような世界が描かれています。

人間はどうも、きらびやかな世界や安楽な道に惹かれる様で、平安時代の後半から”兜率天へ行こう”の弥勒信仰から”極楽へ行こう”の阿弥陀信仰へと変わっていきました。

由旬は古代インドの長さの単位です。倶舎論などでは1由旬約7km。約11km〜15kmとする説もあります。

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