八舌の鑰

はちぜつのかぎ
 TOP > やさしい仏教入門 > 八舌の鑰

天台宗の教えを中国から持ち帰る重要なカギとなった八舌の鑰。
八舌の鑰は、天台宗を開いた最澄が比叡山の地中から発見しました。

八つの突起を持った
八舌の鑰

 鑰と鍵

微妙な違いがあるようですが、 指し示すものはほぼ同じと考えて良いようです。 鑰には、細かい部品を組合せて仕かけを作る、と言うような意味があります。複雑な形をした八舌の鑰には鑰の字が ふさわしいのでしょう。

 投げられたカギ

中国の僧侶で智ちぎという人がいます。中国での天台宗を開いた僧侶で、天台大師とか智者大師と呼ばれています。

この人は、「自分の死後200年後に、東方の国で天台の思想がふたたび興隆するであろう。その時までこの蔵は閉ざす」と言って錠をかけ、そのカギを東の空へ向けて高く投げました。

投げられたカギははるか彼方に消え、行方がわからなくなってしまいました。以来その蔵は「開かずの経蔵」となります。

 発見されたカギ

788年、日本で天台宗を開いた最澄は、比叡山でお堂(根本中堂)を建てる基礎工事中、土の中からカギを発見しました。左の絵のような八つの突起を持ったカギで、八舌の鑰と呼ばれています。

一説には、初めて最澄が比叡山に登ったとき、人の姿に変身した仏様から授けられたモノ、とも言われています。

現在は重宝として比叡山延暦寺に保管されています。

 開かれた経蔵

804年、最澄は中国の天台山を訪ねます。天台山にはお経などを納めた15の蔵があり、その内のひとつは、先の開かずの経蔵です。

この蔵の錠に最澄が地中から発見したカギを合わせると、スルリと扉は開きました。天台山の僧侶達は驚き、最澄は天台大師の生まれ変わりと言われ、蔵に納められていたお経の本や密教の道具は最澄に贈られました。

 (C) Copyright 2006 Tobifudoson Shoboin.All Rights Reserved.

TOP > やさしい仏教入門 > 八舌の鑰