ミリンダ王の問い

那先比丘経
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ミリンダ王は、紀元前150年頃インド西北部を支配したギリシア人の王様です。
ミリンダ王は、那先比丘経なせんびくきょうに登場する質問者です。
ミリンダ王のギリシア名はメナンドロスです。

 那先比丘経 なせんびくきょう

那先比丘経は、弥蘭王問経みらんおうもんきょう=ミリンダ王問経を漢訳したものです。

弥蘭王は弥蘭陀王みらんだおう=ミリンダ王のことです。

那先比丘は、那先という比丘=僧侶のことです。
那先はナーガセーナという名前の音写、那伽犀那なかさいなの略です。竜軍と訳されます。ミリンダ王の質問に答えたインドの僧侶です。

お経といえは、一般的にはお釈迦様の講演記録ですが、那先比丘経は、ミリンダ王と那先との問答の記録です。質問に答える形で仏教の教理を解説したお経です。

ミリンダ王は最後に得心し、仏教信者になります。

 問答は三日間行われました。

初日は王が那先を訪ね、二日目と三日目は那先が王宮を訪ね問答をします。

テーマは仏教の基本的な問題が扱われ、比喩によって答えが導き出されているところに特徴があります。考え方としては、当初の仏教の考え方=上座部系です。

智慧を尊重するインド的な考え方と、知識を重視するギリシア的な考え方とを、対比して見られる点でも重視されています。

原型は紀元前一世紀頃といわれています。漢訳の本は、二巻の本と、三巻の本があり、三巻の方が原型に近いといわれています。

序の部分は二人の生前物語で、出会うまでのいきさつが書かれています。パーリ語のミリンダ王問経ではミリンダ王が中心で、漢訳の那先比丘経では那先のことが中心に書かれています。

 構成

原典が散逸している上、写本が色々あり、後に付加されたと思われる部分もあったりで、章節分けにはいくつかの説があります。代表的な章節分けを示すと次のようになります。

第1編 世俗物語 二人の前生〜出会うまでの由来。序の部分。
第2編 法相質疑 3章40条の問答。
第3編 断惑質疑 4章47条の問答。
第4編 矛盾質疑 8章82条の問答。
第5編 推論質疑 章節に分かれていない。
第6編 頭陀行  章節に分かれていない。
第7編 譬喩説質疑 7章67条。

  計22章236条の問答が掲載されています。

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